カリブ海に浮かぶイスパニョーラ島。その西側の3分の1を占める国が、ハイチ共和国です。ハイチとは、現地ではアイティという発音になりますが、「山ばかりの土地」という意味です。

1492年にコロンブスがイスパニョーラ島に上陸したことに始まるハイチの歴史とは実に波乱万丈なものでした。スペイン人が先住民族を奴隷として酷使し絶滅させた後、1697年にはフランス領となりました。

フランス人はこの地をサンドマングと名付け、アフリカから多数の黒人奴隷を連れてきてプランテーション農業を発展させ、巨万の富を得ました。当時は数万人のフランス人に対し50万人の黒人奴隷がいました。

その後時代が下ると解放黒人奴隷を中心とする独立運動が起こり、黒人による自主憲法が制定されましたが、ナポレオンに鎮圧されました。

その後イギリスの支援を受けた反乱軍がフランス軍を追い出して、1804年に独立を宣言しました。

世界初の黒人による独立国の成立です。しかしその後は内乱やアメリカによる占領、軍事政権・クーデターなどが相次ぎ、現在では国連のミッションが治安維持にあたっています。

かつてフランス領だった地域が現在の国土で、北海道の3分の1くらいの広さです。首都はポルトープランス。

沿岸部に広がる平地ではコーヒーやさとうきびの栽培が盛んです。

コーヒー豆は野趣に富む風味が主にフランスで愛されています。95%のハイチ人がアフリカをルーツとする黒人で、その他はそのほとんどがムラートと呼ばれる白人と黒人の混血です。

ムラートがエリート層を占めていて、貧富の差は大きいです。国民のほとんどがキリスト教徒ですが、アフリカ系のブードゥー教のしきたりも守られています。

識字率や国民所得が低いため、娯楽では音楽が主流です。メレング・コンパ・ミジックラシーン・ヒップホップなどが人気で、アメリカのジャズともつながりがあります。

しばしばハリケーンに見舞われる土地柄ですが、2010年にはマグニチュード7.0の大地震とコレラの大流行があり、多数の犠牲者が出ましたが、このとき国際連合のハイチ安定化ミッションが増強され、現在も活動中です。

かつてはカリブ海のリゾートとしてアメリカからの観光客でにぎわった時期もありましたが、最近は治安の悪化にともない観光業は下火になっています。

英語はあまり通じませんし交通手段も乗り合いバスぐらいなので、現地のガイドの案内が必要です。

それでも、シタデルという要塞やサンスーシー宮殿など、独立を象徴するような世界遺産もあり、海や山の自然の絶景にも恵まれているので、観光に向いていないわけではありません。